脳を鍛えるには運動が最適!体と脳は繋がっている
2013年7月23日
第4回となる今回は、脳の健康についてお話ししたいと思います。
はじめに、私たち人間は自身の脳の2%しか使っていないといわれています。ですから、脳を使いすぎて悪いことなど全くなく、むしろ使うことこそ脳の発達や成長には大切なのです。
では、脳を鍛えるということはどういうことでしょうか?具体的に私がお勧めするのは「ウォーキング」をはじめとする運動です。
【ウォーキングからはじめてみる】
ウォーキングはジョギングとは異なり、比較的誰にでも可能な運動で、自分のペースで無理なく行える点が最大の魅力です。
始めは散歩程度で始め、そして徐々に歩くことに慣れてきたら、距離や時間を延ばし、あるいは歩くスピードを上げ、足に併せて腕の振りも加えてみます。
そうして、よりリズム良く歩けるようになれば、足腰だけでなく腕や背中の筋力維持にも繋がります。更には、外の新鮮な空気を体に取り入れることで血流も良くなり、新陳代謝が活発になります。
また遠くの景色を眺めることで、目や脳の休息にもなるでしょう。そうなると、1日の身体の調子が以前とは違ってくるはずです。ウォーキングはただ歩くことではなく、立派な健康法です!
【歩くことは人間にとって最良の薬!】
「歩くことは人間にとって最良の薬」とは、紀元前460年、医学の祖ヒポクラテスが言った言葉です。あるデータによれば、週5日以上1万歩以上歩くと、高血圧、動脈硬化に効果的であることが分かっています。
1万歩を歩くには、1時間ほど集中してきちっと歩かないといけませんが、その際に重要なことは1日の中で“何時歩くか”を自分の中で必ず決めることです。あやふやな気持ちでは、朝起きても「今日はしんどいから夕方歩こう」と気持ちが揺らいでしまい、継続することができません。
「私は必ず決めた時間に毎日歩くのだ」と自分自身に約束すること、そしてしばらく頑張って続けてみること。
そのうち、習慣化すれば無理なく毎日ウォーキングを行えるようになります。目的を「ウォーキングをする」ことに限らず、他の自分の趣味と結び付けても良いです。
例えば、カメラで外の風景を撮ることは外に出かけるきっかけになりますので、自然と歩くことに繋がります。あなたが楽しみながら続けて体を動かせるものを、まずは見つけてみてください。
【運動は脳に送る血流を活発にする】
私たちの脳は酸素や栄養素をたくさん消費しています。それらは血液にのって心臓から脳へ送られています。
ではここで問題ですが、1分間に心臓から脳に送られる血液の量は、いったいどれぐらいでしょうか?
①コップ1杯 (0.2 リットル)
②ペットボトル (0.5 リットル)
③一升瓶 (1.8 リットル)
④灯油缶 (18 リットル)
正解は、1分間に1.4 リットルほどなので、③の一升瓶がイメージとしては最も近い量です。これを1日あたりの量(すなわち、1日は60分×24時間=1440分)に換算しますと、1.4リットルの1440倍ですんで、なんと約2,000リットル、即ちドラム缶10本分ほどの量の血液が、毎日心臓から脳に送られていることになります!
さらに驚くべきことは、ウォーキングをはじめ、運動はこの脳へ送る血流量をおよそ10倍に増やすということです。運動によって脳の血流が増えるということは、それだけ新鮮な酸素や栄養分がよりたくさん脳に届けられるということになります。そう考えますと、“運動が脳に良い”ということが理解できると思います。
【手足を動かせば脳は活性化する】
東海地方の国立長寿医療センターが愛知県大府市にありますが、ここで行った認知症の研究があります。認知症というのは2通りあり、1つはアルツハイマー性の認知症であり、もう1つは脳血管の障害でおこる認知症です。
脳血管の障害で起きてくる認知症には、手足を動かしたり、レクリエーションを行ったりすることが記憶力の改善に良いと言われています。手足というのは、もちろん手の親指や小指、そして足の指まで含めてのことです。
ですから、これを細かく動かすようなこと、例えば裁縫をすることなどは、脳を刺激することに繋がるのです。それだけでなく、目や口、鼻に至るまで全て脳につながっているのですから、歌を歌うことでも良いし、新聞を声に出して読んだり、ガムや固いものを噛んだりすることも脳には良いのです。
大切なことは、体をどんどん動かしていくことです。その中で、おもいきり笑ったり、悲しんだり、感動して涙したりといったように、感情を動かされることもまた脳にとって良い刺激となります。
「全ての活動がとにかく脳に直結している。」
このことをまずは皆さまにご理解いただきたいと思います。
いかがでしたでしょうか?
前回まで3回にわたり目の健康を、今回は脳の健康についてお話ししました。「目は脳の一部」とよく言われますように、目の健康は脳の健康でもあり、逆に脳の健康は目の健康でもあるわけです。ですから、目と脳の健康は1セットとして考えていただきたいと思います。
ぜひ、このブログをお読みいただいた皆様には、目や体の健康に気を使っていただくとともに、1日1日をより充実したものにするため活発的に活動していただければと思います。毎日を楽しむと同時に、若々しく健康的な精神と脳を維持していってください!
(引用:「前向き脳でエンジョイ・エイジング!」学文社出版、原英彰 著)
大学卒業後、製薬企業の医薬品研究所で抗片頭痛薬、脳卒中治療薬、抗緑内障薬などの新薬の研究開発に従事してきました。また、東北大学医学部神経内科、ハーバード大学医学部に留学して、研鑽を積んできました。専門は幅広く、脳や眼の病気の解明とその治療薬の研究、健康食品の研究などです。
現在は、岐阜薬科大学の薬効解析学研究室で教授として学生の教育と脳と眼の研究に力を入れています。研究室には30名余りの学生や研究者と一緒にお互いに刺激しあっています。
本ブログでは、脳を元気にするにはどうすればよいか?眼の健康を保つ秘訣は?そして、活き活きと生きるには、何を心掛ければよいか?などについてお伝えできればと思います。
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