各駅を訪ねて【名鉄犬山線】駅前に注目の 扶桑駅
2024年8月1日
扶桑(ふそう)駅は、名鉄犬山線の扶桑町内にある3駅の中間に位置しています。扶桑町役場の最寄り駅で、駅から約300メートルのところに役場があります。
近隣の4つの村が明治39(1906)年に合併して扶桑村となり、昭和27(1952)年に扶桑町となっています。
桑畑が広がっていた一帯で、養蚕・生糸の集散地として発展したと扶桑町のホームページには解説されています。桑を育てる土地ということから「扶桑」という町名になったのでしょう。
扶桑駅舎は橋上駅となっていて、東西にロータリーがありますが、地上駅時代は西口側にだけ駅舎がありました。
その西口駅前ロータリーが上の写真ですが、黄色いモニュメントが目に付きます。
これは、扶桑町の花「ひまわり」をモチーフとしつつ、かつて中国で日本を扶桑と呼んだイメージも活かしているとか。
橋上駅舎化に際しての駅前再開発で造られたものですが、いまでは駅前のシンボルとなっています。
扶桑駅は、上下線どちらにも島式ホームがある2面4線の駅です。
犬山線には、2面2線の相対式ホームが多いのですが、ここ扶桑駅は珍しく上下線どちらにも島式ホームがある、2面4線となっています。
この配置は、各駅停車などの緩行列車と、特急や急行などの優等列車の緩急接続をするのに適したものですが、扶桑駅では現在、緩急接続を基本的にしていません。
一部の優等列車を先行させるための待避設備として利用されています。
この扶桑駅には、昭和32(1957)年1月に現役を終えた電車が運ばれてきて、1キロほど離れた高雄小学校まで人力で運んだ記録があります。しかも、途中の踏切で電車を載せていた牛車の車軸が折れて立ち往生するという珍事があり、中部日本新聞(現・中日新聞)に載りました。
このことについては、昨年8月24日の記事で紹介していますので、併せてご覧下さい。
【昭和の珍事】踏切を渡る電車が、名鉄電車を停める!?
かつて、そこそこ利用が多い鉄道駅の駅前には、有料の自転車預かり所がありました。
駅前に住む方が、軒先を自転車の置き場所として提供したことからはじまったのでしょう。大きな木造民家の1階が自転車置き場というところは割と良く見ました。
扶桑駅の場合は、駅前に自転車専用の木造駐輪場を建てていて、かなり盛業だったように見えました。その建屋が老朽化してきたなと思った頃に、橋上駅舎化工事と駅前ロータリーの整備が行われました。
その際、駅前ロータリーに面した地に自転車預かり所が移転開業しました。
近年、行政が駅近くに自転車置き場を設置するのが当たり前になっていて、このように民間による自転車預かり所は極めて珍しくなっています。
貴重な光景として、今後も存続してほしい施設です。
この記事の関連リンク