踏切にも種類がある 鉄道“超”基礎知識(26)
2020年7月16日
踏切には種類があり、第一種踏切から第四種踏切まで分類されています。
もっともよく目にするのは第一種踏切で、警報機と遮断機がついているものです。
カンカンカンと踏切が鳴って、遮断機が降りてくる…当たり前の光景ですよね。これが第一種踏切で、全国に約3万4千ある踏切のうち9割弱の約3万箇所もあります。
では、第二種はというと、これがゼロ。一つも無いのです。
第二種というのは、決められた時間だけ踏切保安係が遮断機を操作する踏切です。有人踏切そのものが激減した今日、その有人踏切はすべて第一種踏切となっています。
続いて第三種踏切を見てみましょう。
一見、第一種踏切のように見えますよね。
でも、よくみると遮断機がありません。
このように、警報機はあっても遮断器がない踏切が、第三種踏切です。
もっとも珍しい踏切で、全国に約760しかありません。
第三種踏切があるのは、ほぼローカル線と呼ばれる地方を走る鉄道で、しかも交差する道路が地元の方しか通らないような狭い道であることが多いです。
ちなみに、上の写真に写っている警報機には上下に二つ警報灯が見えますが、全方向踏切警報灯という東邦電気工業が開発した警報灯です。LEDライトが360度埋め込まれているため、踏切に至る道が複数あっても、全方向踏切警報灯一つで全ての方角に対応できる優れものです。ただし、警報灯は交互に点滅する必要があるため、上下に2つついています。
なお、いまでは他社でも同様な警報灯を開発しています。
さて、お次は第四種踏切です。
おやおや、随分と簡素化されて、警報機も遮断器も無くなってしまいましたね。
でも、「とまれみよ」の注意書きの上に、黄色と黒の虎模様になっている×印があります。この×印は踏切警標と呼ばれるもので、これがあることで踏切と名乗ることができます。
全国に3千弱ありますが、やはり危険と隣り合わせということで、毎年減少し続けています。
第四種踏切があるのは、ほぼ町中から外れた小さな踏切です。車が通れないほど狭い道が横切っていて地元の方がごくたまに利用するだけというものがほとんどです。また、いまも残っている第四種踏切の多くは、近くに第一種踏切か第三種踏切があるため、列車が近付くと警報機の音が聞こえてくる場所となっています。
以上が踏切の種類ですが、これらの分類には入らない踏切もあります。
この写真の中央に写っている、左右のホームを結んでいる歩道を構内踏切と呼んでいます。
鉄道と一般道との交差点にある踏切と異なり、駅構内にあるもので、渡るのは駅利用者に限られます。
かつては大きな駅のどこにでもあった構内踏切ですが、しだいに跨線橋が整備され、都市部ではほとんど見られなくなりました。また、ローカル線は単線にホームが一面だけというところが多いため、構内踏切の必要がありません。
結果、いまも残る構内踏切の多くは、古くからあるローカル鉄道の駅のうち、列車交換設備がある主要駅となっています。
ちなみに、上の写真は長良川鉄道の関駅です。長良川鉄道の本社が隣接している主要駅です。
こうやってみると、一口に踏切といってもいろいろな種類があることに気付いていただけるのではないでしょうか。
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『決定版 日本珍景踏切』を発刊しました