常滑市「大善院」の秘仏本尊「十一面観世音菩薩」ご開帳!
2019年11月14日
知多西国14番札所の常滑市「大善院」。
知多西国三十三所霊場の開創250年を記念して秘仏本尊「十一面観世音菩薩」が2019年11月1日(金)~11月30日(土)に特別開帳されている。
「大善院」は、知多西国14番札所でもあり、知多四国第63番札所でもある。
白鳳年間(684)、天武天皇の勅願寺として西阿野村御嶽山一帯に、七堂伽藍三百坊の僧院が創建された。しかし、戦火で焼かれ、次第に荒廃。これを嘆いたお坊さんの養春上人が、南坊本尊十一面観音を現在の地に移したのが始まりとされる。
その後の弘仁年間に、弘法大師・空海がこの地に立ち寄り、自作の「見護弘法大師像」を残された。「見護弘法大師像」は、お堂の中央の黒いお厨子の中に祀られている。
(「見護弘法大師像」は毎年3月の第2日曜日に御本尊「十一面観世音菩薩」と共にご開帳される)
その「見護弘法大師像」のお厨子の前の小さなお厨子の中に、私の知人の仏師の真野明日人さんが彫った弘法大師の幼い姿の「稚児大師」が安置されている。小さくて可愛いが、普段お厨子の扉は閉まってるので、拝観できない。
ご住職の奥さんが描かれた絵も、所狭しと飾られている。
常滑城の初代城主の水野忠綱は領内安全を願い、常滑城の鬼門にあたる補陀落山観蓮寺に六坊を再建。本坊「大善院」に十一面観音菩薩を建立したとされる。それが、秘仏本尊の「十一面観世音菩薩」。本堂の中心の厨子の中に祀られている。
室町時代作。像高約170cm。厨子は上半身しかのところしか開かないので、下半身は見えない。全身像の写真を見せていただいたが、低い蓮台に立っている。厨子の後ろ側は、全部開くそうだ。
御本尊は毎年3月の第2日曜日にご開帳される。修復されてベンガラが塗られ、白目も塗られ、目つきが厳しく見える。前には鏡が置かれ、神仏習合。
左右の脇侍は毘沙門天と不動明王。
本尊の右側の小さな厨子の中にも、十一面観世音菩薩が祀られている。
今回、本尊と合わせてご開帳されている。本尊のお前立ちだった観音様で、数年前に修復した際、ご本尊より古く平安時代の作だと言われたそうだ。重厚感のある仏様だ。
ご住職が、明治に生まれの京都の画家日本画家「橋本関雪」の宝塚の旧別邸アトリエを境内に移築し、観音堂として使用。
観音堂に安置されているのは、花井探嶺作の平和観音。
昭和19(1944)年に作成されたコンクリート製。およそ2メートルの観音像。龍に乗っている。コンクリートとは思えない繊細な作り。観音の冠にある阿弥陀仏はなく、独特な作り。手のポーズも変わっている。
「没後65年 陶都に咲いた昭和の微笑み 花井探嶺展」をこの観音堂で、ご開帳中の2019年11月1日(金)~30日(土)開催中。平和観音以外の花井探嶺の作品も展示されている。
花井探嶺は、明治に生まれ大正・昭和に活躍した彫刻家。他の作品は、小幡緑地の「御花弘法大師」や中村区白王寺の「中村観音」などを作った人。コンクリート仏像では浅野祥雲が有名だが、同じコンクリート仏像を作ってる花井探嶺はあまり知られていない。
芸術家のご住職が花井探嶺を研究されていて、情報募集中だそうだ。
仏像のイラスト入りのカラフルな御朱印を授与(各々500円)。
素敵な御本尊が安置されてる本堂の屋根が、ボロボロで心配。
早く修復されることを祈るばかりだ。
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「大善院」(だいぜんいん)
住所:〒479-0822 愛知県常滑市奥条5-20
TEL:0569-35-3430
アクセス:名鉄「常滑駅」から徒歩約25分
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