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五味洋治のアジア報道の舞台裏

鉱物資源でよみがえる「蒼き狼の国」、モンゴル

2013年4月17日

「尻が青いヤツだ」なんて言葉を聞いたことがあるでしょう。

経験の少ない青二才、口ばかりの若者という意味で使われることが多いようです。赤ん坊がお尻に青いアザがあることから、こういう表現ができたと思われます。このあざは「蒙古斑」と呼ばれます。蒙古は今のモンゴルのことです。

モンゴルをはじめ、アジアの国々の赤ちゃんにこのアザが広く見られるそうです。ただ、赤ちゃんによってはヨーロッパ生まれでもこのアザはあるというので、どうやらアジア限定ではなさそうです。

ちょっと変な話題から入りましたが、今回は中国とロシアに挟まれたモンゴルについて触れてみます。人口は281万人ですが、国土は日本の約4倍の広さを誇ります。モンゴル

大草原に「ゲル」と呼ばれるテントが散在、人々はヤギの乳から作った酒を飲むーモンゴルと言えばそんなイメージがありますが、近年は、豊富な地下資源が注目を浴びています。
 
安倍晋三首相が、わざわざモンゴルを訪問したのは、モンゴルの地理的な重要性と、資源輸入を考えたためと言われています。

鉱物資源は80種類あり、ウラン埋蔵量は世界最大と見られています。金の値上がりで採掘ブームが起き、それに伴って環境破壊も進んでいるといいます。金など地下資源ブームに沸くモンゴル

モンゴル帝国の開祖であるチンギス・ハーンは息子たちの代にかけて、中国からアジアの大半とヨーロッパの一部からなる史上最大の帝国を形成しました。彼の人生は蒼き狼という小説になっています。蒼き狼

その後ソ連の力を借りて中国の影響力を排除し、1921年7月11日、人民政府の樹立を宣言しました。ソ連に次いで2番目の社会主義国でした。

1992年には、東欧の社会主義の崩壊にともない、資本主義を導入しモンゴル国へとかわり、今日に至っています。中国とロシアの間でもみくちゃにされてきたんです。

私の友人にもモンゴル人がいます。子供の頃はロシア語を学び、中国には敵意を持っているようでした。

チンギス・ハーンは残虐な統治をしたと言い伝えられますが、今のモンゴルの人たちにそんな様子はありません。

おおらかで、明るい人が多いのです。お相撲さんの中にもモンゴル出身者がたくさんいます。モンゴル出身力士一覧

日本語が巧みで、日本の習慣にも無理なくとけ込んでいます。モンゴル語は日本語や韓国語と共通点があるといいます。

たとえば馬をモンゴル語でモリと言います。これは韓国語の馬(マル)、中国語のマァ、日本語の馬(マ)に影響を与えたと司馬遼太郎さんが書いています。街道をゆく 5 モンゴル紀行

ちなみに司馬さんは大阪外語大学でモンゴル語を学んでいます。

日本との間では、日本モンゴル親善協会が主体となって首都のチンギスハン国際空港と平和大橋までの七キロをに植樹する計画が進んでいます。これまで違法伐採が進み、国土の砂漠化が進んでしまったためです。

日本の技術で、モンゴルの自然がよみがえれば素敵ですね。

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