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オッ君教授の金融教室

「金利のある世界」って何?

2024年6月24日

今年に入ってから、これまで長く続いてきた日本銀行による低金利政策が変更され、今後は少しずつ金利が上がっていくことが予想されます。そこで、今回は金利の基本的なしくみと、これから金利が上がっていくと、わたしたちの暮らしにどんな影響があるのかについてわかりやすく解説します。

日本銀行


Q1 銀行にお金を預けると利息はいくらもらえるの?


A1 これまでずっと銀行の普通預金にお金を預けても、年数円とか、ほとんど利息がつかない状態が続いてきました。通帳を見るたびにがっかりした人も多いと思います。それもそのはず。今年の3月までは多くの銀行の普通預金金利は0.001%で、過去最低でした。今年の4月からは、預金金利が引き上げられ、多くの銀行では0.02%となっていて20倍になっています。とはいえ、まだまだ低いのが現状です。

Q2 日本銀行による金融政策はどのように変更されたの?


A2 日本銀行は、今年の3月にこれまでのマイナス金利政策を解除し、17年ぶりに金利引き上げを行いました。さらに6月には、これまで日本銀行が行ってきた月6兆円分の国債買い入れの金額を減らす方針を決めました。これらの政策変更による日本銀行の方針を簡単にいうと、「これまで長く続けてきた歴史的な低金利の状態から抜け出すために、これから慎重に状況をみながら、金利を少しずつ引き上げる方向に進めていきますよ。」というものです。つまり、これまでの「金利がほとんどない世界」から「金利のある世界」への切り替えの動きといえます。

Q3 金利と経済活動や景気にはどんな関係があるの?


A3 金利が高くなると、企業はお金を借りて工場や店舗を作ったりするビジネスへの投資を控えます。反対に金利が下がれば、ビジネスへの投資がさかんになります。一方、預金者は金利が高ければお金を使うよりも銀行に預金しようとするため、その分、消費で使うお金が減ります。このように金利は経済活動の水準、つまり景気のいい、悪いに影響を与えます。一般的に、景気が良くないときには金利が引き下げられ、反対に景気が過熱しているときにはブレーキをかけるために金利を引き上げる金融政策がとられます。

Q4 金利と物価にはどんな関係があるの?


A4 金利には、物価の上昇や低下を調整する重要な役割があります。「物価が上がる」ということは「お金の価値が下がる」ことを意味しています。反対に「物価が下がる」ことは「お金の価値が上がる」ことを意味しています。物価が上がるのを抑えるためには金利を引き上げて、消費を抑制します。しかし、物価の抑制を目的にして、金利を上げると、消費とビジネスへの投資が抑制されて、景気を悪化させてしまう副作用があるため、金融政策には状況に応じた慎重な判断が求められます。

Q5 今後金利が上がっていくと、私たちの暮らしにはどんな影響があるの?


A5 金利が上がり、「金利のある世界」になると、家計全体ではプラスの影響のほうが大きいと考えられます。銀行の預金利息が増え、株や債券、投資信託などの有価証券による配当など、家計がもつ金融資産からの所得が増加するためです。さらに、生命保険会社が契約者から預かるお金の運用利回りが上がることから、保険料の引き下げも期待できます。
しかし、マイナス面にも注意が必要です。住宅ロ―ンを利用している家計では、金利上昇による利払い負担の増加が予想されます。住宅ローンには大きく分けて、変動金利型と固定金利型の2つのタイプがあります。このうち、変動金利型は金利上昇によって、金利負担の増加が予想されます。このため、金利変動の状況に注意し、必要があれば一部を繰り上げ返済するとか、金利タイプを変動から固定に変更するなどの対応を検討する方法もあります。

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