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大西人形五代目のコレで合ってる?節句の作法

1月7日「人日」って何の日?七草粥の由来と、馬と松。

2021年1月6日

明けましておめでとうございます。
昨年は多くの方に記事を読んでいただき本当にありがとうございました。
今年も引き続きよろしくお願いいたします。


□1月7日は何の日?


人形堂さんが作る「春の七草の押し絵」


今日は1月7日「人日」(じんじつ)についてのお話です。


1月7日「人日」というのが現在年が明けてから初めて訪れる節句の日です。七草粥を食べる日、と聞けば納得される方が多いと思いますが一方で「人日の節句」と聞いてもピンとくる人は少なくなっているのではないでしょうか?

少し前に『一般社団法人 日本の節句文化を継承する会』が行ったアンケートでは、大学生と学生の父母・祖父母を対象に五節句の認知度アンケートを行った結果、「人日」の認知度がおおよそ8割に達していました。個人的にはどうも実態よりもかなり高い数字になっているような気がするのが正直なところです。

リンク『一般社団法人 日本の節句文化を継承する会HP』



□人日って何?


春の七草


人日の由来は、古代中国の「荊楚歳時記」(けいそさいじき)という書物に見ることが出来ます。

これによれば、一月一日を鶏の日、二日=犬、三日=羊、四日=猪、五日=牛、六日=馬、七日=人、八日=穀の日とし、そして、一日には鶏を殺さない(食べない)、二日には犬を殺さない(中略)、七日には人を殺さない(処刑を行わない)、八日には穀類を断つ(食べない)などの決まり事があったようです。このことから、1月7日が「人日」と呼ばれるようになったと言われています。同じ書物の中に「人日には七種類の若菜で羹(あつもの・温かいスープのこと)を頂く」という内容の記述を見ることもできます。

前回の投稿でも書いたように、江戸時代の初期に一條家がこの故事を引っ張ってきて、新たに定めたのが現在の五節句ということになります。

前回記事『「おせち」はあるのに「節句」じゃない。お正月と人日の話。』



□何故七草粥を食べるの?


七草粥


なぜ七草粥を食べるのか…?

これは色々な所で書かれていると思います。〈お正月に疲れた胃を休めるため〉〈新年に若菜を食べることでパワーをもらう〉など。色々な理由があって面白いと思いますし、何か意味合いがあった方が行事食は楽しめますので、思い思いの気持ちを込めて楽しんで頂ければいいと思います。


一方で、人日が定められることで少し廃ってしまった行事があります。


それは「子の日の祝い」(ねのひのいわい)という行事で、新年初めの「子」(ね)のひに行われていた行事です。何をするのかというと、「松の木の幹に腰をこすりつけ、若菜の雑炊をいただく」という行事です。行事というよりも「祓え」に近いものだったかもしれません。松の幹にお尻をこすりつけている姿を想像すると笑ってしまうのですが、これには常緑である松の木から生命力を分けてもらうという意味が込められています。若菜の雑炊をいただくというのは人日の七草粥と重なるところで、実はこの行事が中国の故事と混ざってしまって七草粥を食べる風習になったのではないか、という人もいます。

春の草や松の幹などの生命力あふれる植物からエネルギーを頂くという考え方は、これからも大事にしていきたい素敵な風習だと思います。



□白馬の節会


白馬の飾り「奉書馬」


元々は、1月7日は「白馬の節会」(あおうまのせちえ)と呼ばれる節供行事を行う日でした。

本当はこの行事が1月7日としては最も盛大に行われたものでした。天皇が紫宸殿において邪気を祓うといわれる白馬を観覧し、その後に盛大な宴を開く正式な節供行事です。江戸時代になって人日を採用することで節供行事ではなくなってしまいます。

今でも、「1月7日に白馬を見ると大変縁起が良い」ということが伝えられています。京都の上賀茂神社や大阪の住吉大社などではこの節供に因んだ白馬の神事が行われますね。



□まとめ



色々なことを羅列してしまいました。「人日」「子の日の祝い」「白馬節会」。鏡開きや松の内なども加わりますし、お正月行事は毎日のように何かしらの決まり事があって覚えきれなくなりそうです。それだけに一年の中でも特別な期間ということなのでしょう。


1月7日のキーワードとしては…
「春の七草」「七草粥」「白馬を見ると縁起が良い」「松の幹に腰をこすりつける」
こんなところでしょう。


七草粥以外にも、少し覚えておくと何かしらの楽しみが増えるのかもしれません。

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