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朴美姫のもっと知りたい、韓国の魅力

韓国人の正式な座り方は「立て膝」「胡坐」その理由とは?

2013年6月2日

★韓国大統領夫人も「立て膝」


うろ覚えですが、約30年前の韓国のrumor(風聞)をご紹介します。

当時の大統領「全斗煥さん」の就任を祝いに「中曽根」首相が来韓、それがきっかけとなって「日韓首脳会談」が行われることになり、大統領夫妻が来日。

首脳会談が行われている間、令夫人「イ•スンジャ女史」はある文化的な場所を訪問し、韓服を着飾り、座って筆で字を書いている。その側には着物姿の日本の女性達が座っている。

TBC ドラマ 「仁粹大妃 인수대비」 「立て膝」をしている 「채시라 チェシラさん」


翌日の韓国の新聞にこの写真が大きく掲載されたが、日本の新聞には一切載っていなかった。日本の新聞に写真が載っていなかった訳は、日本の女性は皆「正座」をしていたけど、「イ•スンジャ女史」は「立て膝」姿勢だったので、韓国の令夫人のイメージダウンを考慮した日本のマスコミ側の気遣いだったとか……


★日本でも「立て膝」が正しい座り方だった

「윤왕좌 輪王坐」姿勢の「수월관음도 水月觀音圖」 日本・福岡で発見された高麗時代の仏画 (14世紀頃制作) 出典:東亜日報


徳川美術館で見た「源氏物語絵巻」の平安時代の貴族達は「胡坐(あぐら)」だったし、名古屋城の天守閣の掛け軸に描かれている将軍達も「胡坐」だったのに…と思い、ちょっと調べてみました。

すると、現在の日本の正しい座り方は「屈膝座法(膝を揃えて畳んだ座り方)」ですが、江戸時代中期頃までの正しい座り方は「胡坐」であり、「立て膝」だったそうですね。

江戸時代に「危坐(きざ)」と呼ばれていた「端坐」が、「正座」となって一般市民に普及したのは1940年頃。政府の目論みにより「修身」の教科書に基づいて教えられ、定着したとのことでした。

★韓国では座り方が「位」を表していた

「양반다리 ヤンバンダリ 両班足」


朝鮮時代には身分と性別によって座り方が違っていました。当時の座り方は「位」を表していました。

① 胡 坐:支配階級の男性達の正しい座り方「양반다리ヤンバンダリ両班足」といいます。
② 立て膝:支配階級の女性達の正しい座り方。
③ 端 坐:被支配階級の座り方。

朝鮮時代では「胡坐」や「片膝立て」が正しい座り方であり、「女性のチマ=スカート」の広がりを美しく見せるためのお作法でもありました。

慶州の「石窟庵」の「결가부좌 結跏趺坐」 した仏像  世界文化遺産


「あぐら(胡坐)」とは、西方のズボンを履く民族「胡人」の座り方なので「胡座」と言うらしいです。中国の春秋戦国時代には「正座」が正しい座り方で、当時の中国人が「胡坐」をかかなかった理由は、漢族の衣服は日本の着物のように「胡坐」をかくと局部が見えてしまうから…??という変わった説もあったりしますが…。

★韓国と日本の座り方の違いはどこから来たのか


日本では、足先を伸ばして足の甲を床につけ、尻をかかとに据えて背筋を伸ばした姿勢が正しい姿勢で「正座」といい「大奥座り」とされている。反面、女性がお尻を床に付け、片膝を立てた気楽な姿勢は品のない座り方とされ、「芸者座り」とも称されています。

日本の着物や韓服の「チマ=スカート」は、「筒型」になっていない「巻き構造=ラップスカート風」というわけで、日本の着物は前側が開いていますが、韓国の「チマ」は後側が開いている構造です。

前側が開いている着物の下に腰巻き…この格好ではあまり足は広げられないかも。

反面、「チマ」は後側が開いていますし、「チマ」の下にはズボンの形をしている下着を着用しますので、立て膝でも胡坐でも覗かれることも恥じらうこともありません。韓服だからこそ立て膝ができますし、立て膝は韓服姿の女性をより「威風堂々」に際立たせてくれているのです。

★韓国人が正座をするのはどんな時?


さて、「朴」が中学2年の時、ある学生が私語を発したことを理由にクラス全員担任の先生から、机の上に上がり「正座」をさせられる体罰を受けました。日本の正しい座り方とされる「正座」。これはとても辛いですよ ~ 。

韓国では、日本の「正座」スタイルは、教会やお寺などで祈りを捧げる際、或いは上・下の関係において低いものが高いものに対して敬意を表すシーンで取る姿勢です。また、過ちを犯した者が位の高い者に許しを請うとき「土下座」の感覚で……。


風土が異なれば住まいが異なります。住まいが異なれば装いも変わるので、マナーの物差しを変えなければなりません。

「韓服」と「座り方」を理解するには「オンドル温石=床暖房」の構造も関連して考えねばならないでしょう。

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