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愛知連盟 秋季リーグ開幕直前ドラフト候補紹介〔後編〕愛知大の青ゴジラ 安田悠馬!

2021年8月23日

8月20日(金)公開の前編では日本福祉大学の最速148km右腕 藤原直也(投手 4年 啓新)を紹介。
今回の後編では愛知大学野球連盟(以下:愛知連盟)屈指のスラッガーであり大型捕手の愛知大学 安田悠馬(4年 須磨翔風)を紹介します!

安田悠馬(捕手 185cm105kg 右投左打 須磨翔風高校)50m6.4秒 遠投100m【撮影:2021年5月8日】


■安田悠馬とは


高校野球の指導者である父さん(51歳)と幼少期から近所の公園などで野球をしていたことがキッカケで自然と野球を始める。
妙法寺少年野球部、横尾中学校軟式野球部から神戸市立須磨翔風高校へ進学。
中学時代には神戸市立大会優勝実績も。

「バッテリーを組んでいて、凄いと思っていた1学年上の中野(克己)さん、永井(壱弥)さん、3学年上で上手い捕手として有名だった観音寺(将平 愛大4年時は主将)さんらの高校の先輩方が愛知大に進学していました。それらの人たちに色々な話を聞けて、進学してみたいと思ったことがキッカケでした」と、当時1部リーグに在籍していた愛知大に進学。

投球時に構える安田。投手が安心して投げれるような柔らかく大きな構え。ブロッキング技術も秀でている


■愛知大の青ゴジラ


須磨翔風高校在学時から強打のスラッガーとして名が知られていた存在。
通算5本塁打と多くないが、須磨翔風高校のチームカラーが青だったこと、そしてその風貌と芯で捉えた打球の飛距離からついたニックネームは【須磨の青ゴジラ】。
このことについて本人は、「高校通算本塁打は少ないので、フェイススタイルが似ていることで名付けられたのかと思います(笑)。顔だけでなく、技術的にも(NPBやMLBで活躍した)松井秀喜さんに近付きたい」と気に入っているようで、満更でもない様子^^

愛知大入学後から現在に至るまで本塁打は通算28本を記録。連盟屈指の本塁打数と飛距離で名実ともに【愛知大の青ゴジラ】に。

■広島カープ 栗林からホームラン


愛知大学入学直後の2018年春季リーグからその強打を武器に、主に指名打者として出場機会を得て、打率.267、5打点の成績を残し、新人賞を受賞

その年の夏、毎年恒例の対 中日ドラゴンズ2軍や社会人選抜チームとのプロ・アマ交流戦 愛知連盟選抜メンバーに1年生ながら選出。

プロ・アマ交流戦 愛知連盟選抜メンバーに1年生ながら選出された安田【撮影:2018年8月5日 対中日ドラゴンズ2軍】


その年の秋には、東京五輪において侍ジャパン守護神として日本の金メダル獲得に大きく貢献した当時 名城大学4年生だった栗林良吏(投手 愛知黎明高校―名城大学―トヨタ自動車―2020年広島東洋カープドラフト1位)からパロマ瑞穂野球場の右翼中段に飛び込む特大ホームランを放ちました。

更にはオープン戦で立野和明(投手 中部大第一高校―東海理化―2019年日本ハムファイターズドラフト2位指名)からもホームランを。
(打力は)すぐにでもプロで通用する」(東日本プロ球団スカウト)と、下級生時代からスカウトの視線を釘付けにしています。

広島 栗林から特大のホームランを放ち、ダイヤモンドをゆっくり回る安田【撮影:2018年9月8日】


■股関節の柔軟性


野球に限らず、どのスポーツにおいても重要と言われる股関節の柔軟性。
瞬発性の動きが多い野球。自身の体をゴムだと見立てていただきたい。

柔らかい品質が必要な製品であれば、柔らかいゴムがよく伸びるのに対して、硬いゴムは伸びにくく亀裂が入りやすい。それをイメージすれば柔軟性が高ければ高いほど故障予防に繋がりやすいことにご納得いただけるかと思います。

また、弓道に例えれば、弓を引いて発射のタイミングが熟すのを待っているときに、柔らかい体に筋力が備わっている選手ほど、弦の張りが大きく強くなり、矢を放つ際の爆発力が増します。

その股関節の柔軟性と筋力を持ち合わせている安田。

それを証明したシーンが、ある球団のスカウトが上司同行で視察に訪れていた2021年4月4日(日)の春季リーグ 対至学館大学戦。

打者の目線から遠く、ミートするのが難しい低目の緩い変化球。
その球に対して下半身をどっしり落とし、上半身を弓道の発射のタイミングが熟すの待っているようにボールをしっかり懐近くまで迎い入れて、拾うような形で振り切った打球は見事なライトへのホームラン。
柔軟な股関節に加えて、強靭な下半身を打撃に活かしてスカウトを唸らせました。

捕手の構えについても、股関節が硬ければ、お尻の位置が高くなり腰が浮きます。目線が高くなり、低目の球やショートバウンドに対しての処理が悪くなるのはもちろん、次のプレーに対する動作も遅くなります。

一般的に2秒を切れば優秀と判断される、セカンドへの盗塁時の送球タイムについて安田は最速1.76秒(※1)を計測。
「肩が強いことに自信があります」と話し、チームメイトで主戦格投手の田村稜(投手 4年 豊野高校)も、「肩が強いのでランナーがいても安心して投げれます」と話します。

他の捕手と比較すると、安田は50mを最短6.4秒で駆け抜ける脚力も有し、ステップワーク時に柔軟性とその脚力を活かして地面を強く蹴ることが可能。

この驚異的なセカンド送球タイムは下半身の力を、肩をはじめとした上半身に最大限伝えることができる要因が揃っているからこそ計測できるとキャッチャーとしてプレーする筆者は考えます。
(※1 2021年5月8日筆者計測)

ネクストバッターズサークルで柔軟をする安田。股関節が180度近く開脚していることが分かる【撮影:2020年9月12日】


■道具に愛情を注ぐ


打者の命と言えるバット。バット一本一本に対して強い愛情を注いでいることが分かる、「安田は(バットへの愛情から)折れたバットへの愛情から、自宅に折れたバットを全て保管しています」(観音寺さん)というエピソードが。

本人に確認すると「折れたバットを保管しているのは事実です。(バットを)大切にしたいので、体の開きを抑えてバックスクリーンを狙って、芯で打つことを常にイメージしています。ホームランを狙っている訳ではないですが、そういうことを意識して取り組んできた結果が現在の(大学通算28本という)本塁打数に繋がったのかなと思います」と道具への愛情が打撃力向上に繋がったと話します。

余談ですが、現在一人暮らしをしている安田。
その部屋を選定する条件として「素振りできる広さがあること」が譲れない点だったという好感が持てるエピソードも。

自宅で保管している折れたバット。かつての相棒たちのためにもプロ野球の世界で活躍して欲しい!【写真提供:安田悠馬】


■プロ野球選手になるために


「自主性を重んじてくれて、色んな練習時間を確保できたことがよかった」と愛知大について話す安田。

ドラフト候補として安田を推す理由として、「足りない部分に対して自主的に練習に取り組める点。そしてコロナ禍において全体練習ができない期間に徹底した筋力トレーニングに励んだ」という、昨年ドラフト指名を受けた愛知連盟出身の広島カープ 栗林巨人 山本一輝(投手 東郷高校―中京大学―2020年ドラフト6位)、西武 宮本ジョセフ拳(外野手 豊川高校―名古屋学院大学―育成ドラフト3位)の3選手と共通する点があるからです。
〔上記3選手のドラフト当日の記事はこちら〕

その結果90kg前後だった体重は、2021年春季リーグの際に愛知大 八田剛監督が「(体が大きくなりすぎて)合うユニフォームがない」と話すように105kgまで増加して、長打力や肩の強さが増しました。

中日ドラゴンズ 清水昭信スカウトは「強肩と左の大砲として評価(している)。打撃力は(他のドラフト候補と比較しても)抜けているので、あとはプロの投手に対応できるかの見極め」と高く評価。

10月11日(月)に開催されるプロ野球ドラフト会議。
幼少期からの夢であったプロ野球選手になるために、「安田 悠馬 捕手 愛知大学」とコールされることを期待しています!

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